2025年8月11日

はじめに
皮膚科担当の小林佑佳です。
「まだ大丈夫」と思っていたのに、気づけば髪のボリュームが…。
薄毛に悩む方の多くが抱くこの思い。
成人男性の約半数にAGA(男性型脱毛症)が生じます。
しかしAGAは進行性で、放っておいても自然に改善することはありません。
ネットや口コミで、内服薬があるとは聞いたことがあるけど、
・くすりの違いが分からない。
・治療開始のタイミングが分からない。
と思う方は多いのではないでしょうか?
今回は、フィナステリドとデュタステリドという2つの治療薬を紹介し、治療を始めるタイミングについて解説します。
AGA初期症状の見分け方

AGAは徐々に進行するため、初期症状を見逃しやすいのが特徴です。
以下のような変化があれば、早期治療の検討をおススメします。
- 生え際が後退してきた(M字型に薄くなってきた)
- つむじ周辺の地肌が透けてきた
- 抜け毛の量が増えた、細くなってきた
- 頭頂部の髪がペタンとしてきた
変化は、写真で比較するとわかりやすいです。
数か月前の写真と見比べてみましょう。
また、つむじは自分では見えないものです。
周囲の人の指摘も十分に参考になります。
治療薬のタイミングと選び方

フェィナステリド
・適応:初期~中等度のAGA
・作用:5α還元酵素II型を阻害し、DHT(脱毛に関するホルモン)の生成を抑制
・特徴:AGAの進行を抑えるのが主な作用で、主に頭頂部に効果がある。
デュタステリドより安価である。
こんな方におススメ
・抜け毛が気になり始めた段階
・家族に薄毛の傾向があり、予防を兼ねて始めたい
・今後、挙児希望がある方
デュタステリド
・適応:進行が見られる中等度~重度のAGA
・作用:5α還元酵素I型およびII型を阻害し、DHTの生成を抑制
・特徴:より強力にDHTの生成を抑えるが、まれに性機能障害の可能性がある
こんな方におススメ
・つむじや生え際の進行が目立っている
・フィナステリドで効果を感じにくかった方
治療が遅れるとどうなる?

・毛が軟毛化し、復活が難しくなる。
・毛根が死んでしまうと再生不可
・発毛治療より、維持治療の方が効果的かつ経済的
つまり、「気になり始めた今」が、最も効果が出やすく、負担も少なく済むタイミングです。
AGA治療は「いつ始めるか」が非常に重要です。
薄毛が気になり始めた段階から、医師の診断を受け、フィナステリドまたはデュタステリドで適切な治療を始めることが、将来の髪の状態を大きく作用します。
さいごに

AGA治療は、始めてすぐに効果が出るものではありません。
髪のサイクルはゆっくりしているため、効果を実感できるまでに数か月かかるものです。
そのため、「あまり変わらないかも…」と思って、自己判断で薬をやめたり、切り替えたりするのはおススメできません。
せっかくの効果が出にくくなってしまうこともあります。
患者さんご自身の薄毛タイプや進行度に合った治療を選び、継続することが何より大切です。
焦らず、諦めず、続けていくことが大切です。
無理のないペースで、髪とじっくり向き合っていきましょう。