2025年5月23日

はじめに
内科担当の小林登です。
働き盛りの方も、シニアの方も、血圧が高い方は多いと思います。
・適度な運動を指示されている方
・塩分制限を指示されている方
・薬剤を3〜4種類処方されている方
いろいろな方がいると思います。
血圧が高い場合、われわれ医師は降圧薬というくすりを処方します。
しかし、様々な種類があり、年齢や併存症(その方の持つ他の病気)により、使い分けます。
年齢によって目標値も異なります。
そこで、今回は、多くの患者さんがいる高血圧についてお話します。
ほんとうに高血圧ですか?

現在、日本では、4000万人以上の高血圧の方がいると言われています。
しかし、健康診断で「血圧が高め」と言われた方はみな高血圧なのでしょうか?
実は、様々な要因で見かけ上血圧が高くなることがあります。
例えば、診療所の外来で軽度の高血圧の方の実に40%程度が白衣高血圧だったという報告があります。
そのため、当院ではまずは家庭血圧(自宅での血圧)をつけてもらうことにしています。
高血圧の話題〜2024年に健康診断の基準がかわった??〜
2024年に「高血圧の診断基準がゆるくなった?」という誤解が広がりました。
一部ネットやSNSなどでもこのような誤った情報が流れており、当院の外来でも何度か質問を受けました。
結論:高血圧の診断基準は変わっていません。140/90mmHg以上が「高血圧症」と診断される基準です。
・160/100mmHg以上はすぐに医療機関の受診を。
・140/90~160/100mmHgは医療機関へ相談し、適正な医療を受けましょう。
今回の誤解騒動の発端として、協会けんぽ(全国健康保険協会)が定める、
”未治療”の患者さんの「血圧値に応じた医療機関の受診勧奨基準が160/100mmHg以上」である点が、
過度に注目された可能性が考えられます。
高血圧の治療

・食事療法
・運動療法
・薬物療法
治療は上記3つの方法を組み合わせておこなっていきます。
まずは、ご自身でできることをやり、つぎに薬での治療というながれになります。
・食事療法
体内の塩分が多いと体内の水分量が増え、心臓から押し出される血液が増加し、血圧が上昇します。
したがって、高血圧の治療において塩分の摂取制限は必須です。
1日の塩分摂取量の目安は6g未満です。
・運動療法
適度な運動には、血圧を下げる効果が期待できます。
目安として、運動中に会話ができる程度の強度で歩行や
・ジョギング
・自転車の運転
・水泳
などを週3~4回、1回30~50分程度行うことが大切です。
・薬物療法
高血圧の治療には、血圧を下げる作用がある降圧薬を使用します。
降圧薬は6種類以上あり、おひとりおひとり適した薬剤を使用する必要があります。
まずは1種類の降圧薬を使用し、必要に応じて他の降圧薬と組み合わせます。
さいごに

今回は高血圧についてお話しました。
血圧は高すぎても、逆に低すぎてもよくないことが分かっています。
現役世代の方は、健康診断で2次健診になった方は、医療機関へご相談ください。
シニアの方々は、かかりつけの先生に自分に適した血圧・治療を聞いてみてください。
最後になりますが、みなさん、かかりつけ医はお持ちですか?
当院は「あのクリニックに行ったら何とかしてくれる」と言われるよう、患者さんへの適切な医療の提供をおこなうべく、がんばっています。
かかりつけ医がまだ決まっていない方は、一度当院へご相談ください。