2025年3月10日

はじめに
内科担当の小林登です。
「逆流性食道炎」に悩む方は多くいます。
その治療はガスターという薬が発売されるまでは非常に困難なものでした。
また、その発売は1979年であり、40年ほど前です。
以降、プロトンポンプ阻害剤やボノプラザンなどの薬剤が開発、発売され、その治療は目まぐるしく進歩しています。
また、症状は非常に多彩です。
胸やけがあれば、自己診断も可能かもしれません。
しかし、これからお話する様々な症状を来す為、自己診断は難しい場合もあります。
そんな時、一度当院へ相談してみてください。
逆流性食道炎とは?

胃酸が食道へ戻ったら、逆流性食道炎と考えていませんか?
じつは、この状態は「胃食道逆流症」といいます。
胃食道逆流症の中に、逆流性食道炎とNERDというものが含まれます。
すこしややこしくなってしまう為、逆流性食道炎だけにしぼってお話します。
逆流性食道炎は、実際食道粘膜に傷がついているものです。
本来は胃内の胃酸や食物が逆流しないように、食道と胃の間には下部食道括約筋という筋肉が働いています。
ところが、この下部食道括約筋が緩んでしまう為、食物や胃酸が食道へ逆流してしまいます。
胃では、胃が粘液を産生し、胃酸から自分を保護しているために、問題ないのです。
しかし、胃酸は食道では炎症を起こし、傷ついてしまう訳です。
逆流性食道炎の原因
- ●食道と胃の間の締まりがわるくなった。
- ●胃酸分泌過多
- ●食道の動きがわるい
大きくわけると上記の3つになります。
- ●食道と胃の間の締まりがわるくなった。
一番大きな原因としては、食道裂肛ヘルニアがあります。
これは、胃の一部が胸腔(本来肺があるところ)へ飛び出してしまう状態です。
シニアの方や猫背の方に多い印象です。
他に、血圧の薬や高脂肪職、肥満、胃の手術の後などで引きおこされます。
- ●胃酸分泌過多
胃酸の分泌が非常に多くなってしまう状態です。
実はH.pyloriの除菌で胃酸が多く分泌されます。
→ピロリ菌について詳しくは、「ピロリ菌~放置厳禁、胃癌の原因~」をご覧ください。
他、アルコール、高タンパク食、高脂肪食、コーヒーなどは胃酸分泌を亢進すると言われています。
- ●食道の動きがわるい
加齢、糖尿病、膠原病などで食道の動きが悪くなる場合があります。
逆流性食道炎の症状

典型的な症状としては、胸焼けや呑酸があります。
胸焼けとは、みぞおちの灼熱感を伴う不快感を指します。
呑酸とは、酸味や苦みを感じる症状をいいます。
ここまでは、皆さんもわかりやすいと思います。
次に、非典型的な症状としては、非心臓性胸痛、咳嗽、喘息様発作、咽頭部違和感、耳痛、のどのつかえ感、かすれ声、虫歯、睡眠障害などです。
どうでしょうか。
自分で感じている症状がまさか逆流性食道炎からとは思わないものもありませんか?
長引く咳の方が実は逆流性食道炎が原因だったということもあるのです。
逆流性食道炎の検査

症状である程度は診断がつきます。
ですが、正確に調べるには胃カメラを行い、粘膜障害があるかをチェックします。
粘膜に傷がついた食道は、非常に痛々しく、みるからに痛そうな印象があります。
また、胃カメラを行う際には、改訂ロサンゼルス分類を用いて、重症度をチェックします。
長年粘膜に傷ついている場合には、食道が狭くなってしまうこともあります。
その為、「食事が通りにくくなった」と来た方が逆流性食道炎というケースもあります。
その為、症状が重い方は、まずは胃カメラを受けることを考えてください。
逆流性食道炎の治療法

治療法は大きくわけて以下のようになります。
●生活習慣の改善
●内服薬
●生活習慣の改善
暴飲暴食を控えること。禁煙。肥満の方は体重減少をしてください。
また、食後3時間程度は以内に食物が残る為、横にならないようにしてください。
「食べてすぐに横になると牛になる」と言いますが、体にとってひとつもいいことはありませんね。
●内服薬
基本は酸分泌抑制薬です。
ボノプラザン、プロトンポンプ阻害剤やH2ブロッカーなどがあります。
胃の動きが悪いことが予想される場合には、消化管運動蠕動約や漢方薬を補助的に使用する場合もあります。
さいごに

逆流性食道炎についてお話しました。
当院では、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を予約にて行っております。
出来る限り検査を受ける方の苦痛を軽減するべく、様々な工夫で行いますので、
・以前の胃カメラで「おえっ」とした
・胃カメラは辛いと聞いている
・何となく嫌だ
上記のような方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
また、次の症状の原因が逆流性食道炎の可能性もありますので、一度ご相談ください。
・非心臓性胸痛
・咳嗽
・喘息様発作
・咽頭部違和感
・耳痛
・のどのつかえ感
・かすれ声
・虫歯
・睡眠障害