2025年7月01日

はじめに
皮膚科担当の小林佑佳です。
今回は、夏に増えてくる「手足口病(てあしくちびょう)」について、わかりやすく説明します。
手足口病ってなに?

手足口病は、ウイルスによって起こる感染症です。
主に5歳以下の小さな子供に多く見られます。
名前の通り、手のひら・足のうら・口の中に発疹や水ぶくれができるのが特徴です。
手足口病の原因ウイルスは一種類ではなく、数種類のウイルスが原因となります。
そのため、一度かかったとしても、数か月後に別の原因ウイルスに感染して、手足口病を発症することがあります。
さらに、手足口病は「子供だけの病気」と思われがちですが、そうではありません。
ウイルスの種類によっては、大人でもかかりやすいタイプがあります。
特に、子供と接する機会が多い保護者や先生は注意が必要です。
大人がかかると、子供より症状が重くなることもあります。
「なんだかのどが痛い」
「口の中にできものがある」
などの症状があれば、手足口病を疑ってみることも大切です。
実は「手・足・口」だけではない!

手足口病という名前ですが、おしり(臀部)やひざ、体(おなかや背中)などにも発疹が出ることがあります。
発疹はかゆみや痛みをともなうこともありますが、数日~1週間程で自然に治ることが多いです。
どうやってうつる?
感染経路は、主に次の2つです
・ウイルスが口から入る(経口感染)
・水ぶくれにふれてしまう(接触感染)
手足口病のウイルスに感染すると、体の中をめぐって、数日後に発疹などの症状をあらわれます。
この期間を「潜伏期間」といい、だいたい3日くらいです。
どんな症状がでるの?
ウイルスが全身に広がると、以下のような症状が出てきます。
・手のひら、足のうら、口の中、体などに発疹や小さな水ぶくれ
・微熱、出ても38℃くらい
・口の中の発疹が痛くて食べづらくなる
特に乳幼児では、痛みのせいで食べたり飲んだりしづらくなり、食欲不振や脱水、不機嫌になることもあります。
ですが、全身の状態は元気なことが多く、軽い症状でおさまる場合がほとんどです。
まれにある合併症や後遺症
手足口病のほとんどは自然に治りますが、まれに次のような合併症が起こることがあります。
・髄膜炎(ずいまくえん):強い頭痛や発熱、吐き気など
・脳炎(のうえん):けいれんや意識がもうろうとする状態
これらの症状があるときは、すぐに病院を受診してください。
また、手足口病が治った数か月後に、爪がはがれたりへこんだりすることがあります。
これはウイルスの影響で一時的に爪の成長が止まるためで、数か月で自然に治ることが多いので心配はいりません。
病院に行ったほうがいいのはどんなとき?
次のような症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう
・高熱(38.5℃以上)が続く
・水分がとれない、食べられない
・ぐったりしている、元気がない
・発疹がひどくなっている、化膿してきた
感染を防ぐには?
手足口病は、家庭や学校などでもうつりやすい病気です。次のようなことを心がけて、感染を防ぎましょう
・外から帰ったら、石鹸で手を洗う
・タオルの共有は避ける
・うがいを習慣にする
・おむつ交換のあとは手をしっかり洗う
水ぶくれが乾燥して、口の中の発疹が治っても、便中にウイルスが2~4週間も排出されるため、便の始末時は特に注意が必要となります。
さいごに

手足口病は、夏に流行しやすいウイルス性の病気です。
多くは軽い症状で自然に治りますが、場合によっては病院での対応が必要になることもあります。
子供の大人もかかる可能性があるため、正しい知識と予防がとても大切です。
暑い季節を元気に過ごすためにも、日ごろの体調管理と感染対策をしっかり行いましょう!
<2025/7/1現在>
2025/6/19に佐賀県より「手足口病の流行発生「警報」を発表します」とあります。
症状が当てはまる方は医療機関への受診を検討ください。
佐賀県の感染状況の最新情報は、以下の
をご参照ください。