2025年10月01日

はじめに
皮膚科担当の小林佑佳です。
これまでの医療コラムでは、
・ニキビ治療におけるスキンケアと保湿
・ベピオウォッシュゲル
についてお話ししました。
しかし、まだ「ニキビ治療の基本」について詳しく説明していませんでしたね。
ニキビを治療していくためには、保険診療で行う基本的な治療を続けていくことがとても重要です。
今回は、
・ニキビの原因
・「塗り薬」や「飲み薬」といった保険治療の基本
について、わかりやすくご紹介します。
ニキビの原因とは?~毛穴のつまりとアクネ菌~

ニキビの主な原因は次の3つです。
- 毛穴のつまり
- アクネ菌の増殖
- 皮脂分泌の増加
これらが重なり合って、白ニキビ(初期)から赤ニキビ(炎症性)へと進行していきます。
治療は、この原因に合わせて選ぶことが大切です。
保険治療の基本 ~外用薬と内服薬~

① 毛穴のつまりを改善する塗り薬
- ディフェリン(アダパレン)
- 毛穴の中の角質の異常を整え、詰まりにくくします。刺激感や乾燥が出ることもあります。
- ベピオシリーズ(ベピオゲル・ローション・ウォッシュゲル/過酸化ベンゾイル) →毛穴のつまりを改善しつつ、アクネ菌も殺菌するダブル効果があります。 →乾燥や刺激感が出ることがあり、衣類や髪の毛の脱色に注意が必要です。
- エピデュオゲル(アダパレン+過酸化ベンゾイル)
上記2つの効果を合わせた薬です。
効き目が強い分、副作用(赤み・乾燥)が出やすいことがあります。
- デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
- 抗菌+角質改善の作用があります。 →赤ニキビにも効果的で、重症例に使われます。
② アクネ菌を抑える塗り薬
- ゼビアックスローション(オゼノキサシン)
- ダラシンTゲル(クリンダマイシン)
- アクアチムローション(ナジフロキサシン)
いずれも赤ニキビに使用されます。ただし耐性菌の問題があるため、単独で長期使用は避け、ベピオなどと併用するのが基本です。
③ 体の内側から炎症を抑える飲み薬
- ミノマイシン
- ビブラマイシン
飲み薬は広範囲に赤ニキビが出ている場合(中等度~重症)に使われます。
長期使用は副作用や耐性菌のリスクがあるため注意が必要です。
体質や症状によっては漢方薬を用いることもあります。
ニキビは顔だけでなく、背中など体にもできることがあります。
背中ニキビが気になる場合にも、治療のポイントがありますので、ぜひご相談ください。
保険治療以外でできること

基本はあくまで保険治療ですが、治療効果を補うものとして次のような方法もあります。
- ケミカルピーリング
- スキンケア(グリコール酸石鹸など)
- アゼライン酸クリーム
- ビタミンCローション
また、毎日の洗顔や保湿も大切です。
しっかり泡立てた洗顔料でやさしく洗い、保湿を心がけましょう。
詳しくは「ニキビ治療におけるスキンケア・保湿の大切さ!」をご覧ください。
さいごに ~ニキビは皮膚科で治療できます~

ニキビは「治療できる皮膚の病気」です。
市販薬では改善が難しい場合や、赤み・炎症が強い場合には、早めに皮膚科を受診しましょう。
保険で使えるお薬を組み合わせることで、高い治療効果が期待できます。
まずは保険治療をしっかり続けることが、改善への近道です。
一人で悩まず、皮膚科にご相談ください。