2025年9月01日

はじめに
皮膚科担当の小林佑佳です。
夏の紫外線、油断していませんか?
夏になると気になるのが「紫外線」。
肌の老化を早めたり、しみやしわの原因となったりすることは、以前のコラム
「紫外線について~「飲む」と「塗る」でしっかり日焼け止めを~」
でご紹介しました。
しかし、それだけではありません!
長年の紫外線ダメージが皮膚に蓄積すると、
「日光角化症(にっこうかくかしょう)」
という皮膚の病気を引き起こすことがあります。
特に60歳以上の方に多く見られる病気で、放っておくと皮膚がんにつながることもあるため、注意が必要です。
日光角化症とは?
日光角化症とは、紫外線による皮膚のダメージが長年積み重なって生じる皮膚疾患で、進行すると皮膚がんとなるため「前がん病変」と呼ばれてます。
顔や手の甲、頭皮など、太陽の光をよく浴びる部分にできやすく、一見すると「しみ」や「かさぶた」に見えます。
また、かゆみなどの自覚症状がないのも特徴です。
ただの肌トラブルと思って放置していると、まれに「有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)」という皮膚がんに進行する可能性があります。
だからこそ、早期発見と治療がとても大切です。
こんな症状に要注意!
以下のような症状がある方は、日光角化症の可能性があります。
- 顔や手の甲、頭など、よく日焼けする場所にできる
- 赤みがあり、表面はザラザラしている、時に角のような硬いものができる
- 小さなかさぶたのように見えるが、自然に取れない
- ときどき出血したり、治ってもすぐにまたできたりする
特に「最近できたしみがなかなか消えない」「赤みもあり、触るとザラザラしている」という場合は、皮膚科を受診してください。
予防のカギは紫外線対策

日光角化症の最大の原因は紫外線です。
つまり、紫外線対策こそが最大の予防法です。
- 外出時は日焼け止めをしっかり塗る(SPF30以上が目安)
- 帽子や日傘、長袖などで肌を守る
- 曇りの日や冬でも紫外線は降り注いでいるため、通年で意識することが大切
また、若い頃にたくさん日焼けした人ほど、年齢を重ねてから発症しやすいといわれています。
いまからでも遅くありません。できることから始めましょう。
当院では、乳液のような使用感の日焼け止めを採用しています。
クレンジングは必要なく、石けんで落とせるので、肌にもやさしく、普段、日焼け止めを塗る習慣がない方にも最適です。
*サンプルもございますので、診察時にご相談ください。
治療法と受診のすすめ

日光角化症は、皮膚科で正確な診断と治療が可能です。
診察室では、ダーモスコピーという拡大鏡で確認し、疑わしい場合は皮膚生検をお薦めします。
皮膚生検は、部分麻酔をして、皮膚を一部切り取る検査です。
数回の受診が必要となりますが、確定診断ができます。
また主な治療方法には以下のようなものがあります(部位によって異なります)。
- 液体窒素による凍結療法(患部を凍らせて取り除く)
- 外用薬(イミキモド)
- 外科的切除
早い段階であれば比較的簡単な処置で治療できるため、「これって日光角化症かも?」と思ったら、ためらわずに受診しましょう。
さいごに

この「日光角化症」は、見逃さないことが、未来の安心につながります
年齢とともに増えてくる肌の変化。
その中に、“放っておいてはいけないサイン”が紛れていることがあります。
「年のせい」「ただの日焼け跡」などと見過ごさず、皮膚の違和感には一度、専門医の目を通すことが大切です。
夏もおわりですが、紫外線対策とセルフチェックを習慣に。
大切な肌を守る第一歩として、知識と対策を身につけておきましょう。