2025年6月02日

はじめに
皮膚科担当の小林佑佳です。
・足がむくむ
・足がだるい
などの症状でお悩みの方で、ご自身の足に血管のボコボコがある方はいませんか?
それ、下肢静脈瘤です。
また、
・なかなか治らない足の湿疹の方
・こむら返りを繰り返す方
もしかすると、下肢静脈瘤かもしれません。
今回は、下肢静脈瘤について、やさしくお話します。
下肢静脈瘤とは?

足の静脈が拡張してコブのように膨らんだ状態を下肢静脈瘤と呼びます。
見た目以外にも、だるさ、むくみ、かゆみ、こむら返りなどの症状が頻繁に起こります。
重症になると、湿疹や色素沈着、搔きむしって出血をおこすことがあります。
実は下肢静脈瘤はめずらしい病気ではありません。
日本では10人に1人が下肢静脈瘤と言われています。
年齢とともに増加し、妊娠・出産により足の静脈に負担がかかるため女性に多いとされています。
また、出産経験のある2人に1人が発症するという報告もあります。
長時間の立ち仕事が多い方が悪くなる傾向にあります。
たとえば、仕込みから立ちっぱなしのお仕事、「お寿司屋さん」の方に多いとか。
このようなお悩みや症状はありませんか?
・足の血管がボコボコ膨らんでいる
・足がむくみやすい
・足がだるい・かゆい・疲れやすい(長時間立っていると出やすい)
・こむら返りが多い
・足の湿疹が治らない
このようなお悩みがある方は、下肢静脈瘤の検査をしてみませんか?
下肢静脈瘤の原因

立ち仕事、妊娠・出産、遺伝が要因として挙げられます。
立ち仕事の中でも、下肢の筋肉をあまり使わない状態、つまり棒立ちの状態が下肢の静脈に負担がかかります。
足の血液が心臓に戻るとき、静脈の内側にある「弁」が大きな役割を果たします。
この「静脈弁」があることで、逆流を防ぎ、血液は上へと戻っていきます。
しかし、先天的に弁が弱い遺伝的素因に、立ち仕事、妊娠・出産、加齢などの誘因が加わり、静脈弁の障害が起こります。
下肢静脈瘤の多くは、表在静脈(とくに大伏在静脈や小伏在静脈)の弁に障害が起こり発生します。
弁が正常に働かないと、血流が逆流して、足の下の方に血液が溜まり、その結果、静脈が拡張します。
診察室では何をするの?

上記のような症状がある方は、超音波(エコー)検査を行います。
リアルタイムに血管の太さや血流を確認することで、血管の拡張・逆流の有無を評価します。
少々時間がかかる検査となりますので、検査までお時間をいただく場合や、午後の処置時間帯に改めて検査日をお伝えする場合がございますので、ご了承ください。
皮膚に直接ゼリーをつけて足の付け根までエコーで確認しますので、着脱しやすい服装でお越しください。
下肢静脈瘤の治療法

弾性ストッキングで足を圧迫し、静脈のうっ血や逆流を防ぎながら血流を促す基本の治療となります。
サイズを測った後に、適切なサイズの医療用の弾性ストッキングをご紹介します。
ストッキングタイプ・パンストタイプなどの種類があり、静脈瘤そのものが治るわけではありませんが、軽症例では、症状の緩和が期待できます。
弾性ストッキングは伸縮性があるので、ゴムや繊維が劣化すると適切な圧がかからなくなるため、定期的に買い替えることも大切です。
症状や重症度によっては、手術をお勧めすることもあり、その場合には、連携する医療機関へご紹介します。
さいごに

今回は下肢静脈瘤についてお話しました。
今回紹介した症状に心当たりがある方がいるかと思います。
この病気は、命に関わる病気ではありませんので、「急いで病院へ!!」というわけではありません。
しかし、放置すると、症状がでたり、整容性を損なったりと、生活の質がおちます。
・症状が当てはまる方
・「何科に相談するのがいいんだろう?」とお悩みの方
是非一度当院へご相談ください。